May 7th 10
「目の付けどころが、シャープでしょ」は、シャープという会社のブランド・エッセンスを集約した表現だと感心していました。シャープのロゴと一体で表示(いわゆるタグライン)し、広告展開等を通じ多くの消費者に浸透してきた、ブランドの約束といえるものでした。おそらく多くの消費者は、シャープの商品には抜本的な斬新さではないけれども、ちょっとした工夫による意外性を感じていたのではないでしょうか。
しかし、ここ数年、液晶テレビあたりから、シャープから連想するものが変質してきたように思います。世界市場でのシェア争いに勝つための戦略が重視され出してから、私は次第にこのスローガンと実体とのギャップを感じるようになりました。さらに、ソーラー発電での世界戦略などが目を引くようになり、その傾向に一層の拍車がかかりました。
シャープ・ブランドの方向性の舵を取る時期にきたな、と感じていたところ、今年のはじめから、広告から「目の付けどころが、シャープでしょ」が消え、「目指してる、未来がちがう」に取って代わりました。本質は通底していますが、シャープが目をつけているスケールの違いが際だっています。
ブランド・スローガンは、ブランドが目指していること、約束することを端的に表現する大切な道具です。シャープの例にみられるように、事業戦略にともないブランドの表現をリニュアルすることで社内外の関係者の知覚・認識の変容をはかる効果は、侮れないと思います。
「CI・ブランディング」一覧へ